どうも!あべちゃんです!
外部委託の電気主任技術者の場合、毎日は点検できませんよね。
そんな中で電気設備の異常や変化に気付くためにポイントを勉強しましょう。
月次点検とは
自家用電気工作物を設置する者の義務
電気事業法第39条・42条・43条
- 自家用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持すること。
- 自家用電気工作物の工事・維持及び運用に関する保安を確保するため、保安規程を定め、かつ、保安規程に基づき、自家用電気工作物の保安確保に努めること。
- 自家用電気工作物の工事・維持及び運用に関する保安の監督をさせるため、電気主任技術者を選任し、かつ、電気主任技術者がその保安のためにする指示・助言に従うこと。
電気事業法は電気工作物の工事・維持及び運用を規制することにより、公共の安全の確保及び
環境の保全を図ることを目的としています。
設置者が自主保安体制を確立して、自己が所有・占有する電気工作物の安全性は自分で確保する事を
前提として保安規制が構築されています。
設置者は外部委託承認を受けた当該事業場の電気工作物の工事・維持及び運用の保安を確保するにあたり、その承認に係る委託契約の相手方の意見を尊重しなければならない。
電気事業法施行規則第53条第4項
電気主任技術者等は、設置者に代わって自家用電気工作物が技術基準に適合していることを確認し
不適合又は不適合の恐れがある場合には、設置者に対し設備の改修その他の措置を講ずるよう
指示又は助言しなければなりません。
なお、設置者は保安を確保するにあたり電気主任技術者が行う指示又は助言に従う必要があります。
上記の規定を基に電気設備の点検を行います。
我々、電気主任技術者は定めた保安規程に基づき定期的に点検を行います。
原則1ヶ月毎に行う点検を月次点検と言います。
また、1年毎に行う点検を年次点検と言います。
月次点検では主に電気設備の外観点検・測定試験を行います。
外部委託承認制度により点検に赴く場合は設置者側の協力が必要になります。
設置者による自主保安という事で日常巡視点検を依頼しその結果を連絡責任者を通じて聞き取り点検に生かしましょう。
原則とは、いくつかの条件をクリアする事で点検頻度が緩和される制度があるという事です。
月次点検の項目
月次点検は普段の状態(通電状態)での点検のため外観点検がメインになります。
電圧や電流の計測や漏えい電流の測定等の測定試験は可能ですが、高圧活線近接作業となる場合には
必ず絶縁用防護具を使用して下さい。
問診
選任であれば電気関係のトラブルの連絡が日常的に耳にするような状態かもしれませんが、
外部委託の場合、電気設備点検は月1回や隔月1回程度だとおもいます。
そんな状態では電気設備の管理はなかなか厳しいかと思いますので連絡責任者を通じての問診や、
日常巡視点検を依頼しその結果の聞き取りを行うことが重要になってきます。
特に以下の内容については確実に問診を行いましょう。
- 電気設備の増設及び変更の工事を行なったか。
- 電気機器・建屋の金属部分・水道の蛇口、その他の金属部分に触れたときに「電撃」を感じたか。
- 漏電遮断器または漏電火災警報器が動作したか。
- 配線用遮断器・ヒューズ・電動機用過負荷保護装置が動作したか。
- 電気機械器具から異音や異臭が発生したか。
- 電気関係以外でも工事予定はあるか。
- 接地工事の施工や変圧器の定格容量内での運用を確認します。事前連絡を依頼します。
- 漏電があったかを確認します。
- 漏電があったかを確認します。
- 過負荷や短絡の有無を確認します。電気使用状況を確認します。
- 電気設備の劣化や不具合を確認します。場合によっては更新の依頼をします。
- ガス配管の取替や建物外壁の塗装等も確認します。(掘削中に地中配線を断線させた事例あり)
まず、点検に入る前には問診を行なってください。
問診により得た情報を基に点検を行うことにより異常に気付きやすくなります。
短い主技人生の中で知らぬ間に高圧機器の取替工事が実施されていた事もあります。
(もちろん事前連絡いただくようお伝えはしていました。)
竣工試験が実施できていないため、絶縁耐力試験が出来ていません。
電技違反ですよね。このような事がないよう問診を行いましょう。
外観点検
目視や嗅覚・聴覚により電気設備の点検を行います。
触覚(温度)に関してはサーモマーカやサーモグラフィ等を活用します。
- 電気工作物の異音・異臭・損傷・汚損等の有無の確認をします。
- 電線と他物との離隔距離の適否の確認をします。
- 機械器具・配線の取付け状態及び加熱の有無の確認をします。
- 接地線等の保安装置の取付け状態の確認をします。
- 五感を用いて点検します。正常な変圧器の励磁音を覚えましょう。
- 電線同士や造営材と電線の離隔距離の点検をします。地震によって短絡することがあります。
- 過負荷や端子の緩みの異常は温度に表れます。外気温との差異等で判断します。
- 例えばB種接地が外れているとELB等の保護装置が動作しません。また電圧バランスが崩れます。
負荷に高調波が混じると励磁音が高い音程になります。
個人的には高圧設備に関しては1ヶ月や2ヶ月程度では状態は変化しないと思います。
ただ、台風や地震等の自然災害や停電点検後の点検に関しては普段より慎重に点検する必要があります。雨漏りや揺れによるがいしや機器の破損・端子部の緩み、また停電点検での戻し忘れについては発生しやすいため注意が必要です。
大前提ですが、停電点検時は復電前に復帰確認をしましょう。事故につながります。
また、強風や雨の日の点検はストッパーの取付けを実施し雨が電気設備にかからないように点検しましょう。
測定試験
- 配電盤等に取付けてある電圧計や電流計により電圧の適否や過負荷等を確認します。
- B種接地線に流れる漏えい電流を測定し、低圧回路の絶縁状態を確認します。
- 変圧器は7〜8割での使用が最も効率がよくそれを超えると過負荷と判断しています。
- クランプリークメータで測定するとIc分(静電容量分)も含まれるため実際より多く表示される
変圧器二次側の漏電に対する規定値ですが定格電流の1/2000とされています。
変圧器の過負荷により過熱や、過熱に伴い絶縁油の劣化が起こります。
過熱により変圧器が膨張し空気を取り込みます。過負荷がおさまると空気を吐き出します。
これにより絶縁油が酸化し絶縁能力の低下に繋がります。(呼吸作用)
また、サーモグラフィを活用することにより温度を可視化でき、局所的な過熱を確認することができます。
どうも!お疲れ様です!
定期点検の記録に関しては3年以上は保管してください。保管の依頼も併せて行いましょう。
また、電気機械器具が増設された場合には接地工事の確認や負荷電流の確認を実施しましょう。
機械器具が増えたことに気づかない方が多いと思います。その際、増設された機器に接地工事が施されてないと危険な状態で放置される事になります。そうならないためにも問診は思ったよりも重要です。問診をマスターしましょう!
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