どうも!あべちゃんです!
今回は零相変流器(ZCT)の点検ポイントやケーブルシールドの再貫通の有無による保護範囲の違いを解説していきます。
難しい内容ですが一緒に勉強頑張りましょう!
ZCTとは
似たような機器に計器用変流器があります。(こちら)
決定的な違いは監視回路です。
計器用変流器(CT):回路に流れる電流を監視し過負荷や短絡から機器を守る。
零相変流器(ZCT):回路から漏れた電流の大きさを監視し地絡による影響を防ぐ。
ZCTの二次配線は地絡継電器や漏電火災警報器に接続されます。
ZCTが回路の地絡成分を検出し地絡継電器に信号を送ることで、地絡成分の大きさに応じて
継電器が動作し、絶縁破壊を防ぎます。
低圧の場合は、ZCT2次配線がLGR(漏電火災警報器)に接続されます。
低圧の漏電を検出し、警報器が鳴動する事で周囲に危険を知らせ感電や火災を未然に防ぎます。
低圧の場合、ZCTの取付け位置は変圧器二次巻線のB種接地線につける事が多いため1本
の線を挟み込みます。
ZCTの原理
健全回路では行きと帰りの電流差がないため誘導電圧が発生せず地絡成分を検出しない。
事故回路では行きと帰りの電流差が発生するため誘導電圧が発生し地絡成分を検出する。
発生した電圧が継電器に伝わり電圧の大きさで地絡電流の大きさを判定している。
ZCTには多くの場合、4つの端子がある。
Z1・Z2・Kt・Lt
Kt・Ltに外部より電流を流し込む事で模擬的に地絡事故を発生させ、継電器の動作を確認する事ができます。
試験方法としては、ZCTに線を通して電流を流しこむ方法もありますが、受電中には不可能なため、Kt・Lt(テスト端子)があると試験しやすいです。
竣工試験時にない場合は依頼しておきましょう。
貫通型と分割型
ZCTには貫通型と分割型の2種類があります。
貫通型の特徴は、新設時やケーブルとZCTを同時に取替る際に使用されます、一体型となっているためです。また、小型で安価なのも特徴です、
分割型の特徴は、ZCTのみ取替る際に使用されます。ZCTを2つ分断する事が出来るためケーブルがあっても取替が可能です。取替にあったては刃を傷めないように注意する必要があります。
分割型の場合、刃の劣化や破損により本来の性能を発揮しないと思われますので十分注意して下さい。また、工事の際の環境によっては刃が錆びてくる恐れもありますので取替工事では注意して点検を行いましょう。
ZCTの銘板について
RATED CURRENT:一次・二次側端子に定常的に電流を流して性能が保証できる電流値
VOLTEGE MAX:端子に印加できる電圧の上限値(6.6KV系統であれば6.9KV)
→(6600V×1.15/1.1=6900V)
機器点検のポイント
機器点検においては以下のポイントを点検します。
- 端子部の緩み・過熱
- 接地工事
- 固定状況
- 取付けの向き(竣工時)
- 破損
ZCTの取付けの向きですが、ZCTの二次配線がDGRの場合に動作する位相特性が反転してしまうので十分確認するようにしましょう。
DGRではなくGRの場合は動作します。
ちなみに、「K」が電源側・「L」が負荷側です。
ケーブルシールドの接地方法
以下に様々なケーブルシールドの接地例を解説しますが、全てケーブル地絡の解説です。
また、図面では分かり難いですがケーブルはそれなりに長いと想定して下さい。
地絡箇所は端末やZCT付近ではなく配線されている経路のどこかです。
PAS受電のケーブルシールド接地例
ZCTの下が電源側・上が負荷側だと考えて下さい。
基本的には三相3線式のため3本引込みますが考えやすくするため「行き」と「帰り」の2本で考えます。
1.行き10A・帰り10A流れているのが地絡のない健全な状態です。
2.行きで5A地絡が発生⇨シールドへ5A流入
※負荷が変わっていないため負荷に供給される電流は一定のため、行きが15Aとなりその内5Aがシールドへ地絡します。(ZCT通過時は、行き10A・帰り10A・シールド5A)
3.行きと帰りで相殺しますがシールド5Aが存在しているのでZCTが5Aの地絡を検知
※行きと帰りの10Aは向きが逆なので相殺します。
出迎え受電(近畿圏内特有)のケーブルシールド接地例
ZCTの下が電源側・上が負荷側だと考えて下さい。
基本的には三相3線式のため3本引込みますが考えやすくするため「行き」と「帰り」の2本で考えます。
1.行き10A・帰り10A流れているのが地絡のない健全な状態です。
2.行きで5A地絡が発生⇨シールドへ5A流入
※負荷が変わっていないため負荷に供給される電流は一定のため、行きが15Aとなりその内5Aがシールドへ地絡します。(ZCT通過時は、行き10A・帰り10A・シールド5A)
3.シールド線をZCTに再貫通させて接地するためシールドに地絡した5Aも相殺する
4.ZCT未検知
ここで大事なのはZCTが検知しなくても問題ないのかです。
結論は、基本的には問題ないです。
実際、問題無いと言うよりかは検知しても意味がないですね。
出迎え受電の場合はPASが付いていないためケーブルの地絡は保護できません。
(ケーブル地絡は確実に波及事故になります。)
そのため主遮断装置をそもそも動作させないために再貫通します。
(高圧機器の地絡や短絡等の事故は動作します。)
送り出しケーブルのケーブルシールド接地例
ZCTの上が電源側・下が負荷側だと考えて下さい。
基本的には三相3線式のため3本引込みますが考えやすくするため「行き」と「帰り」の2本で考えます。
1.行き10A・帰り10A流れているのが地絡のない健全な状態です。
2.行きで5A地絡が発生⇨シールドへ5A流入
※負荷が変わっていないため負荷に供給される電流は一定のため、行きが15Aとなりその内5Aがシールドへ地絡します。(ZCT通過時は、行き15A・帰り10A・シールド5A)
3.シールド線をZCTに再貫通させて接地するためシールドに地絡した5AをZCTが検知
シールドの接地方法による動作の違いや機器点検のポイントを理解してより良い保安管理を目指しましょう。
お疲れ様でした!
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