高圧ケーブルの種類
そもそもケーブルの定義というのは、銅などの導体を絶縁性の被覆で覆い、またその上から
外装(シース)を施したものを言います。
絶縁被覆に傷が入りにくいため漏電のリスクが低減されています。
高圧ケーブルの構造や素材にも規程がありますが、正直そんなとこまで見てられませんし
規程や規格に準拠した製品をメーカが製造していますのでそこまで気にしません。
海外製のケーブルを使用する事があれば確実に確認しておきましょう。
CVケーブル
一括でシース保護されているためCVTケーブルに比べると頑丈です。
逆に、施工の面で考えると硬いので施工の自由度が減ります。
現在の主流はCVTケーブルですので見る機会が減ってきてはいますがまだまだ残っている現場もあろうかと思います。
CVケーブルは古いので更新を依頼しましょう。
ちなみに、介在物とシース間に遮蔽層があります
交流耐圧試験では2線と1線に分けて試験する必要があるとされています。
別の投稿で解説するつもりですが、電界がシールド遮蔽層に向くからです。
また、構造上の問題により熱放散が悪いため許容電流が低く設計されています。
CVTケーブル
現在、主流のケーブルです。一本のケーブルが3本撚り合わされたタイプです。
一本ずつ撚り合わせてあるだけなので施工の簡単さが特徴です。
遮蔽層が分かれているため相別での絶縁劣化診断が可能です。
外部の影響を受けやすい面もあります。
(傷・水トリー)
耐圧試験は1回で完結する場合がほとんどなので楽ちんです。
ケーブルそれぞれが独立しているため絶縁低下による相間短絡のリスクが低い。
高圧絶縁抵抗測定(G方式)で測定するのは遮蔽銅テープを内側ですね。(こちら)
CETケーブル
ECOケーブル(エコケーブル)は、従来のケーブルと比べて環境に配慮したケーブルです。
火災の場合や廃却時に焼却処理される場合などに、塩化水素ガスなどの
有害ガスやダイオキシン等が発生せず、煙の発生も大幅に抑えることが可能です。
ECOケーブル(エコケーブル)の使用によって、地球環境への負荷を低減することが可能です。
耐熱温度が高いため、許容電流がビニル電線に比べて大きい場合が多いです。
また、配線工事の際に電線が擦られることで表面に白い跡が残る事がありますがこれを
白化現象と言い、実用上は特に問題はありません。
ケーブル事故でよくあるのが「掘削工事中に高圧ケーブルを損傷させた」です。ケーブルが完全に切断されてしまったり、傷が入り漏電が発生⇨GR動作⇨停電という事が度々あります。
(出迎え受電の場合は確実に波及事故に繋がるので)電気以外の工事も把握しておきましょう。
EーEタイプとEーTタイプの違い
それぞれの違いは外部半導電層の構造の違いです。
種類 | 内部反導電層 | 外部反導電層 | 特徴 |
EーE | 押出式 | 押出式 | 導体上に内部半導電層、絶縁体の 2 層を 同時押出加工した後、外部半導電性テープを施す。 |
EーT | 押出式 | テープ式 | 導体上に内部半導電層、絶縁体、外部半導電層 の 3 層を同時押出加工する。 |
EEとETですが正直見た目じゃ識別できません。断面見てようやくわかるぐらいです。
押出式ですが、絶縁体と密着しているため水が侵入しにくい構造になっています。
水トリーの影響を受けやすい地中電線路のケーブルに採用される事が多いです。
EーEタイプは水トリーの耐性が高いですがその分 高価になり、また加工が困難です。
逆に、EーTタイプは安価でかつ加工がしやすいという特徴があります。
また、水による影響を受けないような経路ではEーTタイプで性能としては十分です。
環境 | 水の影響を受ける | 水の影響を受けない |
耐用年数 | 10〜20 | 20〜30 |
【注意喚起】更新推奨時期に満たない高圧ケーブルにおける水トリー現象に係る注意喚起
上記内容で経済産業省より高圧ケーブルの更新依頼が出ています。(2024年3月)
特定メーカでの絶縁破壊事故が相次いで発生しているという背景があります。
水トリーとは
高圧ケーブルの絶縁に使われる架橋ポリエチレンなどに、
水と電界の関係で小さな亀裂が発生し樹枝(tree)状に成長する現象を「水トリー」と呼びます。
水トリーには、内部の導体から発生する内導水トリーと外部の半導電層から発生する外導水トリー、
絶縁物中に製造過程でできる微小のすき間や混入異物から発生するボウタイ状水トリーがあります。
この中で、内導水トリーと外導水トリーは特にケーブルの絶縁性能を大きく低下させ、
絶縁破壊事故の原因となっています。
水トリーが発生しているケーブルの絶縁劣化診断についてはこちらで解説しています。
点検のポイント
高圧ケーブルの点検をする時は以下のポイントを点検しましょう。
- 支持状態
- 端末部の施工状態
- 温度測定による過熱の有無
- 外装の外観点検
- 引込み経路
- 絶縁抵抗測定
ども!お疲れ様でした!
ケーブルの種類による特徴の違いやEE・ETの違いを解説しました。
現時点では各メーカでのケーブル新規受注が一部ストップしています。(2024年3月)
ケーブル事故が発生しても早急な復電は困難かと思われます。
こういった状況を含めて高圧ケーブルの点検を慎重に行いましょう。
高圧ケーブルが古い場合や、地中引込みのETタイプや絶縁低下の兆候がある場合はいつ停電事故に至っても不思議ではありません、早め早めの更新を依頼していきましょう!
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