どうも!あべちゃんです!
今回は高圧交流負荷開閉器(LBS)の機構部の点検や役割について解説していきます。
一緒に勉強頑張りましょう!
LBSとは
種別 | 負荷電流の開閉 | 事故電流の遮断 | 対象機器(例) |
断路器 | ✖️ | ✖️ | 断路器(DS) |
開閉器 | ◯ | ✖️ | 高圧交流負荷開閉器(LBS)・PAS・PC |
遮断器 | ◯ | ◯ | 真空遮断器(VCB)・パワーヒューズ(PF) |
まずはこの図を覚えるようにして下さい。
LBSと言うと左図を想像するかと思います。
LBSはあくまで開閉器であり事故電流の遮断は不可能です。
しかし、付属のヒューズは事故電流の遮断が可能なため主遮断装置としても使用されます。
厳密に言うと主遮断装置はヒューズ(PF)です。
主接点・補助接点
上図の通りがLBSの構造ですが、補助接点が無いパターンもあります。
主接点:メインとなる接点で、電流の流れる経路となります。
補助接点:LBSの操作の補助を行う接点です。消孤室があり操作時のアークを消孤します。
LBSを操作する際に大量のアークが発生します。
LBSはVCBと違い電極が露出しています。
アークが作業者に飛び散るのを防ぐために補助接点にはある特徴があります。
それは、主接点より先に投入され、主接点より遅く開放します。
これは、主接点でアークを発生させないための工夫です。
補助接点がない製品もありますが、主接点に消孤室が付属しているだけの違いです。
消孤室
左図がLBSの全体図で右図の白い部分が消孤室になります。
消孤室の役割としては開閉時に発生するアークを消孤する事です。
アークは10,000度あるとされており、アーク発生時には高温により溶けた熱が飛散します。
このアークが作業者に触れると災害に繋がるためアークを消す(消孤)ために消孤室が設けられています。
経年による劣化や外的要因による破損が発生している場合には、必要な消孤能力が保証されません。
また、破損している場合には破損箇所からアークが飛んでくる恐れもあるため注意が必要です。
多くの負荷を開閉する程、より多くのアークが発生するためコンデンサの突入電流でよく発生します。
ヒューズホルダー
左図がLBSの全体図で右図のヒューズを挟み込む部分(上下)がホルダーになります。
ヒューズを挟み込みネジで固定している構造ですが、ネジの締め付け具合が難しい印象です。
ネジを締めすぎるとヒューズが破損する恐れがありますし、締めが緩いとヒューズが外れる恐れや接触抵抗により部分的に過熱する恐れがあります。
完全に締め付ける人や点検する方の感覚に委ねられますがほどほどに締めましょう(笑)
過熱の対策としては、ホルダーにサーモマーカを塗布することで過熱を発見しやすくなります。
点検の際、ネジを緩めすぎるとヒューズが落下するかもしれませんのでご注意ください。
ストライカーとラッチ
赤:ストライカ 青:ラッチ
ストライカ:ヒューズの断で突出します。
ラッチ:投入状態を保持するひっかけ
LBSの開放動作の話になりますが、基本的にはLBSは自動開放しません。
ですが、付属のヒューズが溶断するため電気的に開放され、回路が保護されます。
このヒューズが溶断した時にストライカが突出します。突出したストライカがラッチを引き上げる事で投入状態の保持が解除されLBSが開放します。
また、継電器などの保護装置からトリップコイルに電圧が印加される事でコイルの電磁誘導作用で棒が押されラッチを引き外します。
ヒューズが溶断するのとLBSが開放する二重の保護ですね。
再度登場あべちゃんです!
LBSの点検において超重要なポイントを紹介します。
・LBS開放してから点検・清掃を実施する。(点検中にLBS倒れてくると大怪我します。)
・ストライカー連動部分が三相連動する事を確認(S相だけ開放されると欠相します。)
・ロックピンが無いことを確認(出荷時は動作ロック用のピンが刺さってます。)
銘板について
定格電圧:その負荷開閉器に加えることが可能な使用電圧の限度
定格電流:規程する温度上昇を超えることなく連続的に通電できる電流の限度
※LBS本体 200A 付属の限流ヒューズ T 50A
開閉容量:規定する回路条件で投入し,遮断できる電流
励磁電流開閉容量:負荷が無負荷変圧器である回路を開閉するとき,負荷開閉器の各極に流れる電流
充電電流開閉容量:負荷が無負荷電路である回路を開閉するとき,負荷開閉器の各極に流れる電流
過負荷遮断電流:過負荷回路の負荷開閉器の遮断時にその各極に流れる電流の限度
コンデンサ電流:コンデンサ回路の負荷開閉器の遮断時にその各極に流れる電流の限度
定格耐電圧:雷サージ電圧に耐える上限
規程
「受電設備容量の制限」
受電設備容量は、主遮断装置の形式及び受電設備方式により下図に示す値を超えないこと
遮断器についてはこちらとこちら2
CB形 PF・S形 箱に収めないもの 屋内式 制限なし 300KVA 箱に収めるもの キュービクル 4000KVA 300KVA 高圧受電設備規程 1110-5
代表的な受電方式の規定を抜粋したので他にもあります。
機器点検のポイント
- 絶縁物・支持がいしの破損やリーク痕
- 消孤室の破損・変形
- 接触子や受け刃の肌荒れ・破損・変形
- ヒューズやホルダーの破損・過熱
- ラッチのかかり具合
- 接地
お疲れ様です!
改めて、LBSのヒューズホルダーの緩みによる過熱や締めすぎによるヒューズの破損に注意してください。
また、LBSを投入する際おかしな軌道で操作すると接点部を破損させる恐れがありますので点検時に念入りに点検を行いましょう。
コメント