ども!あべちゃんです!
遮断器は電気設備の保護において非常に重要な役割を担っています。
今回は電圧引き外しと電流引き外しの違いや遮断時間、消孤方法について解説していきます。
一緒に勉強頑張りましょう!
遮断器とは
種別 | 負荷電流の開閉 | 事故電流の遮断 | 対象機器(例) |
断路器 | ✖️ | ✖️ | 断路器(DS)・高圧カットアウト(PC) |
開閉器 | ◯ | ✖️ | 高圧交流負荷開閉器(LBS)・PAS |
遮断器 | ◯ | ◯ | 真空遮断器(VCB)・パワーヒューズ(PF) |
まずはこの図を覚えるようにして下さい。
遮断器は負荷電流及び事故電流の開閉が可能です。
VCBやPFが遮断器に当たります。
勘違いしがちなんですが、LBSは遮断器ではありませんし主遮断装置ではありません。
構内平面図を書く時に間違えないようにして下さい。
LBSは開閉器です。PFが遮断性能を有しています。つまり、主遮断装置です。
過電流継電器や地絡継電器等の継電器と連動して動作する事で設備を保護する事が可能です。
わかりやすい説明があったので引用しますと、
「遮断器による電流遮断の考え方」
短絡事故などが発生したとき、数千から数万アンペアという大電流が流れます。構内に敷設しているケーブルは数百A程度の耐電流性能しかありませんので、このような電流が流れれば瞬時に被覆が溶融し発熱・発火します。
栄新テクノ株式会社HP
このような事故電流は瞬時に切り離す必要があります。
回路を流れている電流を強制的に切り離す場合、電気は電路を流れ続けようとするため、電極が実際に離れたとしても、電極間を電子が流れようと放出し続けます。この電子の流れがアークであり、光と熱を発生させながら電流を流し続けます。
アークは、空気が電離してプラズマ状態になったもので、10,000℃の温度を持ちその温度から光が放出されます。導電性を断つことでアークを消すのが遮断の仕組みになります。
受電設備方式 | CB形 | PF・S形 |
箱に収めないもの(電気室) | 制限なし | 300KVA |
箱に収めるもの(キュービクル) | 4000KVA | 300KVA |
変圧器容量が大きくなると負荷電流も多くなるためより多くの開閉容量や遮断容量を必要とします。そのため上記の規程が定められています。
また、LBSに比べてアークが操作者側に飛ばない事や開閉頻度が多いのが特徴です。
消孤
消孤とはアークを消失させる事です。先にも説明しましたが電極同士を開閉する際には短絡のような
状態が発生します。電極間を電子が放出し続けるので電極同士が完全に接触若しくは分断するまで
アークが発生します。非常に高音の熱を有しているため電気設備が過熱し焼損に至ります。
また、開閉器や遮断器の操作者にまでアークが飛び散り重度の火傷を負うことになります。
これを防ぐためにガスや圧縮空気・真空を用いて消孤しています。
この陶器っぽいのが真空バルブです。
真空バルブの内部に電極があり開閉時に消孤しています。
真空バルブが劣化するとほぼほぼ遮断器としての仕事をしていないと思うので遮断器の更新をお勧めいたします。
真空バルブ内の構造は以下です。
なんかベローズが真空を保ってくれてるみたいですね。正直中身は分からないです。
真空バルブの劣化を確認するためには「真空度試験」を実施します。
サイクルや周波数による遮断時間の違い
3サイクルと5サイクルがありますが、一般的には3サイクルが汎用されています。
今回は3サイクルにおいての50Hz・60Hzの遮断時間を解説します。
「 50Hz 」
3/T=3/50=0.06s
「 60Hz 」
3/T=3/60=0.05s
以上が関東(50Hz)と関西(60Hz)の遮断時間です。
遮断器タイミングチェッカーを使用する事で開極時間や閉極時間を測定することが可能です。
また、各相の遮断時間の差も確認する事ができます。
相により遮断時間が大きく異なるとその間は欠相している事になるので点検しておいても良いかもしれませんね。
また、実際の動作は継電器と連動する形になるので遮断器の動作時間+継電器の動作時間です。
開閉頻度
VCBと似た機器でVCSやVMCと言った高圧の電磁接触器があります。
それらはコンデンサ系統に使用される事が多く、力率の制御のために高頻度で開閉します。
そのため開閉可能回数がVCBに比べて多く設計されています。
VCBはそもそも短絡保護を最優先の目的として設置されているため高頻度での開閉が想定されていません。
富士電機機器制御株式会社さまの資料によると「推奨交換年数は開閉回数10,000回」だそう。
開閉可能回数を超過すると接続部分の接触が悪くなり過熱や焼損の恐れがあります。
固定型と引出し型
遮断器の据付方式には2種類あります。それが固定型と引出し型です。
それぞれの特徴について解説します。
固定型
これが固定型です。
盤に固定して設置してある事が多いような気がします。
そーゆー製品なんですね。
ちなみに手動バネ方式ですね。
正直この単元においては言うことないです。ただの紹介でした〜。
引出し型
このタイプの遮断器には断路機能が備わっています。
DS付属した遮断器みたいなもんです。
断路機能とは電路から遮断器を断路する機能を差します。省スペースです。
DSなんで負荷電流が流れている時には断路・接続操作はしてはいけません。
内部機構上、遮断器投入状態では断路・接続操作ができないようにインターロックがかかっている物も
ありますが、くれぐれも操作しないように気を付けましょう。
なぜ引出しの機能が付いているのかと言うと、私の考えですが
大きな現場では蓄電池設備や直流電源によって制御系統の電源が賄われている事が多いです。
例)配電線停電検知⇨受電用遮断器開放⇨母連開放⇨発電機起動⇨発電機系統遮断器投入
このような流れをシーケンス制御と言い、これには制御電源が必要です。
つまり予期せぬタイミングにシーケンス制御が走ってしまうと想定していない回路を通電、作業者が感電する恐れがあります。
この時、遮断器を断路していれば遮断器が投入しても通電しないため作業者は感電しません。
制御電源を開放すれば良いんですが、点検時に使用したい場面も多々ありますので引出し機能が存在しているのかなと思っています。
引出し型は全てが電圧で制御される遮断器のはずです。シーケンス制御したいので。
遮断器のグリスアップとかする時は注意して下さい。
カプラ抜くか制御電源開放した上でかつ遮断器を放勢にしてからにしましょう。
蓄勢状態のまま点検すると遮断器が動作する恐れがあるため非常に危険です。
遮断器の銘板について
定格電圧:遮断器に課すことができる使用回路電圧の上限値。線間電圧の実効値で表す。
定格電流:規定の温度上昇の限度及び最高許容温度を超えないで,連続して通じ得る電流の限度値。
定格遮断電流:全ての定格及び規定の回路条件の下で,の標準動作責務及び動作状態に従って遮断する
ことができる遅れ力率の遮断電流の限度値。
定格耐電圧:電圧を規定の時間,遮断器に印加しても異常が認められない電圧の限度値。
定格遮断時間:定格遮断電流を全ての定格及び規定の回路条件の下で,規定の標準動作責務及び動作状
態に従って遮断する場合の遮断時間の限度値。
定格閉路操作電圧:遮断器の操作装置を設計する基準となる操作電圧値。
定格閉路制御電圧:遮断器の閉路装置を設計する基準となる電圧値。
定格開路制御電圧:断器の引外し装置を設計する基準となる電圧値。
上図の遮断器は電圧引外しの遮断器です。
また、蓄勢モータの巻上げやラッチの引外しにAC/DC100V/110Vを要します。
電流引外しもありますが、電圧引外しの方が制御電源の確実性から信頼度が高いと言われています。直流での制御が可能なため蓄電できる事が強みです。
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