どうも!あべちゃんです!
前回に続き今回は遮断器の蓄勢の有無や引外し方式について解説します。
書いててややこしいので図にしてみました。下図を参考下さい。
固定型 | 引出し型 | |
操作方式 | 手動バネ方式 電動バネ方式 | 電動バネ方式 |
制御方式 | 電流引き外し 電圧引き外し | 電圧引き外し |
手動バネと電動バネの違い
遮断器の操作方式には2種類以下のあります。
- 手動バネ方式
- 電動バネ方式
それぞれの違いを解説します。
手動バネ方式
こちらでも紹介した固定型の遮断器に用いられる操作方式です。
名前の通り手動により遮断器を操作します。
操作レバーを左下に動かすと投入
逆に右上に動かすと開放
電流・電圧どちらの引き外しも可能です。
遮断器の内部の可動部をてこを使って操作します。結構重たいです。
電動バネ方式
こちらでも紹介した引出し型の遮断器に用いられる操作方式です。
こちらは電動により遮断器を操作します。
内蔵されたモータにより蓄勢を行い、
投入操作を行います。
逆にラッチを電圧を用いて引き外すことによって
開放操作を行います。
制御方式は電圧引き外しが適用されます。
投入のラッチや開放のラッチの引き外しを行うためにコイルを励磁します。
また、蓄勢をかけるためにも電源が必要なため電圧引き外しのみ適用されます。
蓄勢とは
蓄勢とはバネを引張り、力(勢い)を蓄える動作を差します。
「ひざを曲げて大きなためを作って高く飛ぶ!」みたいなイメージです。
ひざを曲げて大きなためを作って:蓄勢
高く飛ぶ!:遮断器の投入
遮断器を投入するためには大きな勢い(力)が必要です。
バネを蓄勢し、勢いを放つ(放勢)事で可動部が動作し投入されます。
特に遮断器を投入するために蓄勢をする事が多いです。
遮断器内に直流モータが内蔵されており、モータがバネを巻き上げます。
右下のやつがモータで接続されている左のバネが蓄勢バネですね。
分かりづらいですけど、今はたぶん放勢されています。
モータが回転してバネを巻き上げると収縮していって蓄勢されます。
遮断器の動きはこんなだ!
これが電圧引外しの遮断器です。
この遮断器の特徴は、開放や蓄勢・投入を制御電源により制御しているところです。
動作の確実性があり信頼度が高いですが、電源を用意する手間が発生します。
中央部の赤い突起を上下する事でも遮断器
を入切する事が可能です。
ただ、投入操作は蓄勢されている必要があ
ります。
赤い突起の動作をロックしている蓄勢レバーを使用する事で手動による蓄勢が可能です。
「現在投入状態」
- 遮断器を開放(電動若しくは赤い突起を操作)
- 直流モータがバネを巻き上げ蓄勢
- 蓄勢完了後、モータの巻き上げ停止(ミニリレーが完了を検知)
- 遮断器を投入(電動若しくは赤い突起を操作)
引外し方式
遮断器の引外し方式(トリップ方式)には2種類あります。
- 電流引き外し
- 電圧引き外し
それぞれの特徴について解説します。
電流引き外し
遮断器のトリップコイルにかかる電圧を、実際に電路に流れている事故電流から供給する方法
定格遮断電流は3A
実際の事故電流を活用しているため他にトリップ用の電源を確保する必要がないため経済的であるが、
電圧引き外しに比べ信頼性が低い。
トリップコイルの抵抗値は4Ω前後らしいい
事故時には流れた電流(例.3A)によりトリップコイルに電圧が発生する。
P=I×I×r=3×3×4=36W
理論上は上記の電力を持った電圧が発生し遮断器を引き外す。
継電器試験時には、電流を流すだけでは無く抵抗を可変して発生する電圧を上げる必要があります。
また、過去の事例ですが、過電流継電器試験での結線ミスにより過電流印加後遮断器のトリップを試験器が検知せず40Aを印加し続けコイルが焼けた事例もあります。
トリップコイルに流れる電流によりジュール熱が発生します。
P=I×I×r [ j ] これを秒に換算する事で印加し続けた場合に発生する熱量が計算できます。
電圧引き外し
遮断器のトリップコイルにかかる電圧を、他の電源より供給する方法
電流引き外しに比べ制御電源が確保されているため信頼度が高い方式ではあるが、
他に電源を用意するコストがかかるのがデメリットとなります。
「定格閉路操作電圧」「定格閉路制御電圧」「定格開路制御電圧」
以上の3つがとりわけ電圧引き外し特有の内容になります。
手動バネ方式では「定格開路制御電圧」のみ記載されます。大体DC24V?
色々あるので一概には断定出来ませんがほぼほぼDC24Vです。
ですが、商用電源は交流のため制御電源として使用する事ができません。
そのため直流に変換する必要があります。
これも大体、蓄電設備があるかCTD:コンデンサ引き外し電源(コントリ)があります。
なぜ直流なのかは恐らく蓄電が可能なため交流より信頼度が高いためだと思います。
電圧引き外しの場合は遮断器と連動する補助接点(パレットスイッチ)があり、遮断器が開放された
状態ではトリップコイルに電圧が印加される恐れがありません。
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