どうも!あべちゃんです!
LA(避雷器)の特性と種類による違いを解説します。
かなり難しい内容になるので気合い入れていきましょう!
LAについて知る
上のが高圧避雷器(断路装置付き)です。
避雷器は落雷時に構内に侵入してくる異常電圧や開閉サージ電圧から機器を保護する事が目的です。
可能な限り受電点に近い箇所に取り付ける事が理想で流入してくる異常電圧を大地に放電します。
落雷には直撃雷と誘導雷の2種類があります。(下図参照)
左図が直撃雷です。直撃雷が発生すると大体保護し切れません。
右図が誘導雷です。近所に落ちた雷が周囲に影響を及ぼします。
直撃雷とは
電気設備や建物に落雷する事を直撃雷と言います。
雷のエネルギーは想像も付かない程の規模なので直撃雷が発生すると何かしら破損します。
ただ、避雷器により大地へ電流を逃すため被害はかなり軽減されているのかと思います。
直撃雷の対策
そもそも直撃雷を避けようという事で対策をします。
外部雷保護システム(外部LPS):雷を補足する受雷部システム避雷針、水平導体、メッシュ導体・
雷電流を大地へと導く引下げ導線システム・雷電流を大地へと放流する接地極システムから成ります。
これが設備の保護ではない、そもそも設備・建物への直撃雷を防ぐシステムです。
高層ビルの屋上でよく見ますよね。
厳密に言うと電気設備では無いので管理する必要はありませんが、落雷と電気設備は深く関わってくるので把握しておいても良いのかなと思います。
「高さ二十メートルをこえる建築物には、有効に避雷設備を設けなければならない。ただし、周囲の状況によつて安全上支障がない場合においては、この限りでない。」
建築基準法第33条で規定されているみたいです。
誘導雷とは
誘導雷の影響は電路や接地線を伝わり機器に波及し、誤動作や破損を発生させます。
機器内部の制御系や電子基板が焼けたりしますが落雷によるものだと気付きづらいです。
直撃雷と比べて被害は少ないですが、低圧電路が異常電圧によって破損します。
誘導雷の対策
SPD(ショックアブソーバ)を電路に取り付け低圧回路に流入してきた異常電圧を大地に逃します。
また、接地極を連接接続することで接地側からの誘導雷を除去します。
接地極間に専用のSPDを取り付ける事で落雷時のみ連接接地とし誘導雷から保護する事も可能です。
落雷の影響は電路からだけではなく、接地側からも流入してきます。
そのため機器の外箱に電圧がかかったりもします。
また、電路への誘導雷の影響+外箱の電圧の電位差により設備が破損します。
連接接地にする事で接地極間の電位差を無くし外箱への電圧の発生を防ぎます。
酸化亜鉛(Zn0って?)
右図の酸化亜鉛(ZnO)素子は通常の抵抗体に比べて非常に大きな非直線性の電圧-電流特性を持ちます。
つまりは、通常の電圧(例.6600V)では絶縁体として、異常電圧(雷サージ)では導体として働きます。
LAの特性である異常電圧を大地に逃す役割は酸化亜鉛素子が担っているという事です。
上部の端子を電路と接続し異常電圧が発生した時に下部の接地端子から大地に逃す構造ですね。
また、酸化亜鉛(ZnO)素子は以下の特徴もあります。
- 非オーム性:ZnO素子に過大なインパルス電流が流れたときの端子電圧を可能な限り低く抑え、電子機器や電力施設を保護します。
- サージ耐量:ZnOセラミックスの均質性の向上によるサージ電流の均等分担と、高い沿面絶縁性
異常電圧を大地に逃すだけでなく大電流に対する電圧を可能な限り低く、沿面リークを防いでくれます
直列ギャップ付き避雷器(弁抵抗型)
左図:弁抵抗型
右図:酸化亜鉛型
気中ギャップと特性要素を兼ね備えているのが弁抵抗型の避雷器です。
気中ギャップ:特性要素と直列に結ばれる火花ギャップです。常時は避雷器回路を開き、異常電圧印加の際に火花放電によりその回路を閉じ、その後特性要素で制限された続流を遮断します。
特性要素と言うのが酸化亜鉛の持つ、非直線抵抗(V-I)特性です。
以前はSi(ケイ素)が使用されていましたがV-I特性が不十分であるため現在では酸化亜鉛が主流です。
以前は、直列ギャップ付き避雷器の特性要素として酸化亜鉛を用いる事でより優れた雷サージに対する保護が可能です。
ギャップはつまり空気の層のため気温や気圧・湿度により特性が変化します。
ギャップレスに比べて安価のため高圧系統では弁抵抗型が普及しています。
続流とは放電後も商用周波電流を流す事でありそれを酸化亜鉛が防いでいる。
直列ギャップレス避雷器(酸化亜鉛型)
もう完全に酸化亜鉛が保護を行います。
上部が電路側です
下部が接地側です。
たぶん青いやつが酸化亜鉛?
見たこと無いので間違えていたらすみませんこちらから連絡くださると助かります。
ちなみに、避雷器がヒダヒダしているのは沿面リークを防ぐために表面積を大きくしています。
直列ギャップを設けず、酸化亜鉛部分が多いため放電耐量に優れています。
また、続流が流れないため保護としてもほぼ完璧なんじゃないでしょうか。
ギャップ部分が酸化亜鉛に入れ替わったみたいなイメージです、
酸化亜鉛が増えたため放電耐量がギャップレスに比べて高いです。
(たしか5KA〜10KAとか)
変電所とかに設置される事が多いみたいですね。
LAの銘板について知る
定格電圧:電圧を避雷器端子間に印加した状態で,指定の単位動作責務を指定の回数,反復遂行できる電圧値
公称放電電流:避雷器の保護性能及び復帰性能を表現する雷インパルス放電電流の規定値。
放電開始電圧:両端子間に印加された際に波高値付近において直列ギャップで火花放電が起こるなど、実質的に避雷器に電流が流れ始める最低の商用周波電圧
制限電圧:避雷器の放電中、過電圧が制限されて、両端子に残留するインパルス電圧
放電電流:避雷器に実質上の障害を起こすこと無く所定の回数を反復して流し得る所定の波形の放電電流波高値の最大限度
放電開始電圧を超える電圧が発生すると放電を開始します。
その後の電圧は制限電圧を超えないように放電してくれます。
放電電流に収まる電流は大地に安全に逃してくれますが、それを超えると避雷器の破損に繋がります。
機器点検のポイント
月次点検においては外観点検を行います。以下のポイントを確認しましょう。
- 端子部の過熱・緩み
- 破損・汚損(破損や汚損により表面リークが発生します。)
- 接地線の断線(地震等で電気設備に負担がかかり破損等を引き起こします。)
年次点検においては月次点検の項目に加え以下のポイントを点検します。
- 月次点検では視認できない箇所の外観点検
- 清掃
- 接地抵抗測定(A種接地です、10Ω以下を確認します。)
- (必要に応じて)動作開始電圧試験(経年劣化により性能が低下します。)
以上が点検のポイントです。
また、LAは主遮断装置の電源側に設置されていることが多いです。
触れる前には必ず検電を行って下さい。
LAの接地抵抗は低い方が好ましいです、可能な限り抵抗値を低くするために線の長さ及び太さを短くかつ太くする事がベストかと思います。一般的には14sqかと思います。(Part.2で解説)
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