
ども!あべちゃんです!
今回は地絡継電器(GR)を解説していきます。
一緒に勉強頑張りましょう!
地絡継電器とは
地絡継電器(GR) JIS C 4601-1993 制御器具番号:51G
まず地絡継電器はよく上記のような名称で呼ばれます。
現場では「GR」や「51G」と呼ばれる事が多いかと思います。
そんな地絡継電器は、高圧電路や機器に異常が発生し、高圧系統で地絡が発生した時にそれを検出
する機能があります。
また、地絡継電器と連動して開閉器や遮断器を開放させることで健全回路を保護します。

そもそも地絡継電器を設置する目的ですが、以下のように考えています。
「地絡が発生すると3相の電圧バランスが崩れたり、1相以上が欠相したような状態になります。このような事象は高圧機器への影響は少ないと思われますが、低圧の系統への影響が大きいのかと思います。
例えば、3相負荷の1相が欠相することで過負荷となる、また負荷が不平衡となり1相に過電圧が加わり機器が破損する。」
よって、全ての高圧需要家の受電点付近には地絡継電器の設置が義務付けられています。
関連機器と地絡継電器の動作
地絡継電器は単体で使用する事は全く意味がありません。
異常を検出するだけでは意味がないという事です。
地絡継電器の動作と関連機器を解説します。
零相変流器(ZCT)
まず、こちらの投稿でも解説していますので参考にご覧ください。
地絡継電器は高圧系統の地絡を検出する機能があると解説しましたが、厳密に言うと
検出しているのは零相変流器です。
零相変流器に地絡を検出し、検出分を地絡継電器に入力します。
そして、入力分が設定値を上回っている場合に地絡継電器が動作します。

ZCTはコイルです。発生した地絡電流の大きさに応じてZ1・Z2端子に誘導電圧が発生し、ZCTからGRまでの配線を通り継電器に入力されます。
その入力された電圧が地絡継電器の動作の判断材料になっています。
開閉器・遮断器
高圧系統に地絡が発生し地絡継電器が動作し開閉器若しくは遮断器が開放し保護が完結します。
つまり、事故点への電気の供給をストップすることで地絡事故からその他を保護できます。
そのためには地絡継電器と連動する開閉器若しくは遮断器の存在が必須です。
地絡継電器のバック端子及び結線

主要な端子を解説します。
Z1・Z2:ZCTからの配線です。地絡電流を検出する端子
P1・P2:電源端子
a1・c1:警報用端子
T1・T2:開閉器や遮断器に制御をかけるための接点
SやOに関しては電流引外しのみ存在する端子です。

外部接続図です。
K Lの配線とZ1・Z2端子の極性には注意が必要です。
TCはトリップコイルです、図だと遮断器を引外すための装置です
試験項目
動作電流試験
零相変流器の一次側に電流を流し、これを徐々に増加させ継電器が動作した値を測定する
全ての整定値について試験を実施する
JIS C 4601-1993
良否判定
整定値電流値に対して±10%の範囲になければならない
JIS C 4601-1993
動作時間試験
零相変流器の一次側に整定電流値の130%及び400%の電流を急激に通電して継電器が動作する時間を測定する
JIS C 4601-1993
良否判定
試験電流(%) | 動作時間(s) |
130% | 0.1~0.3 |
400% | 0.1~0.2 |
引外し方式
引外し方式とは、遮断器の制御方式を差します。
遮断器の引外し方式について詳しい解説はこちらを参照ください。


遮断器の引外しは基本的には2つです。「電圧」若しくは「電流」

つまりは、遮断器の引外し方式に対応した方式が地絡継電器にも存在するという事です。
例)PASの引外しは直流 LBSの引外しは交流 etc
電流引外しの場合は継電器のバック端子が増えます。(S1・S2・O1・O2)
電圧引外し

左図の回路にて解説しますので、全ての現場で共通する内容ではございません。
- 外部若しくは内部電源(P1・P2の枝分かれ)がC1に接続され、C1に電圧が発生
- 継電器が動作するとa1・c1間の接点が閉じa1にも電圧が発生
- a1からの配線でTCに電圧が発生し、TCから外部若しくは内部電源で回路形成がされる
- 電流が流れコイルが励磁され、遮断器開放

基本的には内部電源で回路が組まれている事がほとんどかと思います。
大規模な現場であれば、蓄電池等のバックアップ電源を外部電源として使用している事が多いです。
外部電源の方が保護の信頼性は高いです。
電流引外し

左図の回路にて解説しますので、全ての現場で共通する内容ではございません。
- 継電器が動作すると各接点が切替ります。
- S1からCHを通りT1 に接続される
- T1からTCに接続されTCからT2へ接続される
- T2の配線がS2に帰ることで回路形成され電流がコイルを励磁し遮断器開放

S1とS2間に電圧が発生しているため、CH(コイルによる抵抗分)により回路に電流が流れます。電流の流れが以下の通り
[ S1→T1→TC→T2→S2 ]
O1とO2に関しては過電流継電器用の端子です。地絡継電器が動作していない状態で過電流継電器が動作すると事故電流がO1から流入しTCを通りO2から流出することで遮断器を引外します。

お疲れ様でした!GRは基本中の基本です。
電気保安において重要な役割を担っているのでしっかり覚えておきましょう!
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