
試験項目
動作電流試験
零相変流器の一次側に電流を流し、これを徐々に増加させ継電器が動作した値を測定する
全ての整定値について試験を実施する
JIS C 4601-1993
良否判定
整定値電流値に対して±10%の範囲になければならない
JIS C 4601-1993
動作時間試験
零相変流器の一次側に整定電流値の130%及び400%の電流を急激に通電して継電器が動作する時間を測定する
JIS C 4601-1993
良否判定
試験電流(%) | 動作時間(s) |
130% | 0.1~0.3 |
400% | 0.1~0.2 |
試験の準備
継電器の試験をするためには必要な器材があります。以下を参考にしてください。
- 慣性特性試験器
- 付属線
- 試験用電源
- ドライバー
- テスター(実効値型)

慣性特性試験器ですが、代表的なのは以下だと思います。
ムサシインテック:RDF-5A
双興電機製作所:DGR-3050CVK・DGR-1000KD
テスタに関しては実効値型を使用しましょう。平均値型だと電圧が低く出ますので試験器や継電器を破損させる要因になります。
試験回路の結線(継電器単体)


結線の説明です。
P1・P2に試験器からの補助電源を入力します。(継電器の制御電源です)
Kt端子に試験器のKtをLtに試験器のLtを入力します。(tはテスト端子です)
Ba・Bcに試験器のトリップ線を接続します。(継電器の動作を検知します)
状況によりますが、P1・P2端子に補助電源を入力する場合は継電器側の配線を離線しましょう。(電源の上位系統へ補助電源から逆昇圧します。)
若しくは、電源の上位系統のブレーカを開放するかヒューズを抜いてください。
試験開始
では!実際に試験の流れを順番に解説していきます。
動作電流試験
- 継電器の試験前の設定を確認
- 試験器のダイヤルレバーやスイッチ等の設定を確認
- 試験器用電源の電圧が正常かテスタを用いて確認し、問題がなければ電源コードを挿入
- 試験器極性ランプを確認
- 継電器の制御電圧を確認し試験器の補助電源の出力電圧を調整
- 補助電源スイッチ投入
- 継電器側の電源ランプ点灯確認
- 継電器テストボタン押下(動作表示及び関連設備の動作確認)
- 試験ONスイッチを押下
- 電流出力調整のつまみを操作し、継電器が動作するまで出力を徐々に調整する
- 継電器動作
- 動作電流値を控え、良否判定を行う

動作電流試験の流れでの注意点を説明します。
1.試験後に設定値を復帰させるために試験前の設定値を記録しておきましょう
2.試験器の設定も確認しましょう、もし補助電源スイッチが投入状態で電源コードを挿入すると予期せぬタイミングで電圧を印加することになり非常に危険です
4.極性が逆だと出力される電流の位相が反転します。(GRの場合は関係なし)
5.継電器の制御電源を確認し適正な電圧を入力してください、継電器の誤動作や破損に直結しますので慎重に確認してください
11.継電器の動作の定義を調べておきましょう、メーカや種類によります。
動作時間試験
7.までは動作電流試験と同様ですのでスキップします。
8.整定電流値の130%・400%を設定モードで設定
9.設定モードを解除し、試験ONスイッチを押下
10.継電器の動作を試験器が検知しカウンタが時限を測定
11.時限を控え、良否判定を行う

動作時間試験の流れでの注意点を説明します。
8.整定値が0.2Aの場合は、130%:0.26A 400%:0.8Aとなります。
9.設定モードは試験器の内部回路で電流を通電させているため継電器に出力されません。
10.カウンタ用のスイッチをONにしておかないと時限の計測ができません。
試験回路の結線(連動試験)

先ほどの「試験回路の結線(継電器単体)」は動作時間試験の時限計測が継電器単体の動作時間を計測します。
しかし、座学編でも解説しましたが継電器は単体だけでは意味がありません。継電器の動作に連動する遮断器や開閉器の存在が不可欠です。
「試験回路の結線(連動試験)」では継電器が動作し関係回路が事故点の保護を完了するまでの時間を計測します。


試験器には、電源が消失した時にカウンタを動作させるという機能があります。
この機能を利用して図ではPASが開放するまでの時限を測定する試験回路が組まれています。
GRの制御電源は回路の電源です。試験器から電流を出力することでPASが開放します。PASが開放すると試験器の電源が消失し試験器のカウンタが時限を計測します。
動作電流試験をする場合は、開放したPASを再投入するかトリップ回路の配線を離線しておくことで試験が可能です。
コメント