
どうも!あべちゃんです!
今回は過電流継電器編ということで、一緒に勉強頑張りましょう!
過電流継電器とは
過電流継電器(OCR) JIS C 4602-2017 制御器具番号:51
現場ではよく「OCR」や「51」と呼ばれています。
過電流継電器は、変圧器の過負荷や高圧系統の短絡事故時に電気設備を保護する役割があります。
継電器単体では効果を発揮しないため、遮断器と連携して設置されます。

過電流継電器はVCB受電の設備で設置される事が多いです。
PF・S受電の設備に過電流継電器を設置してもあまり意味がありません。
PFの方が短絡に対して強いからです。
関連機器と過電流継電器の動作
継電器は基本的に単体では効果を発揮しません。
関連機器が事故回路を遮断することで継電器としての役割が終了します。
以下で関連機器について解説します。
計器用変流器(CT)
需要家で使用している電気をCTで計測し、過電流継電器を経由し電流計で表示します。

VCBの負荷側直近に設置されているので、全ての変圧器やコンデンサに流れる電流を計測します。
そのうえで変圧器やコンデンサが過負荷していたりCT負荷側で短絡が発生すると流れる電流をCTが検出し過電流継電器に入力します。
遮断器
CTが電流を変成し過電流継電器に入力し、継電器が動作するかを判断します。
継電器の整定値以上に電流が流れていた場合に継電器が動作し遮断器を引外し保護が完結します。
過電流継電器のバック端子及び結線
過電流継電器には大きく分けて2種類あります。
それは「電流引外し」と「電圧引外し」です。
以下にてそれぞれの継電器周りの結線を解説します。
電流引外し(常時閉路式)

C1R:電流入力(R相)
C2T2R:電流出力・トリップ回路
T1R:トリップ用端子
T相も同様です。


1:C1Rに電流を入力
2:演算用のコイルに発生する誘導電圧により電流の大きさを判別
3:電源回路用のコイルに発生する誘導電圧を継電器の制御電源として使用
「回路電流が整定値以下の場合」
4:C2T2Rより電流を出力⇨電流計へ
「回路電流が整定値以上の場合」
4:警報用及びトリップ用の接点が動作し、C2T2Rのb接点が開路
5:T1Rよりトリップコイルへ入力
6:トリップコイルより電流計を経由しCTが返る
b接点が常時閉路しているため常時閉路式と呼ばれています。
流れる電流によってb接点の開路時に接点部が焼ける事があるそうです。
電圧引外し(常時開路式)

C1R:電流入力
C2R:電流出力
T1R及びT2R:トリップ用端子
a1及びa2:警報用端子


1:C1Rに電流を入力
2:演算用のコイルに発生する誘導電圧により電流の大きさを判別
3:電源回路用のコイルに発生する誘導電圧を継電器の制御電源として使用
4:C2Rから電流を出力⇨電流計へ
「回路電流が整定値以上の場合」
4:警報用及びトリップ用の接点が動作し遮断器若しくは開閉器をトリップ
a接点が常時開路しているため常時開路式と呼ばれています。
この場合はトリップ用の電源を別に用意する必要があります。
試験項目
動作電流試験
限時要素の動作時間整定を1の目盛位置にしたときの各動作電流整定値における動作電流値及び瞬時要素を各動作電流整定値としたときの動作電流値を試験する。
JIS C 4602-2017
良否判定
JIS C 4602-2017
項目 性能 限時要素 整定値に対して誤差±10% 瞬時要素 整定値に対して誤差±15%
動作時間特性試験
限時要素を最小動作電流整定値とし、かつ300%の電流を急激に加え継電器の動作時間を測定する。
次に、瞬時要素を最小動作電流整定値とし、整定値の200%の電流を急激に加え継電器の動作時間を測定する。
JIS C 4602-2017
良否判定
瞬時要素の動作時間は0.05s以下でなければならない。
JIS C 4602-2017

限時要素:回路の過負荷に反応して動作する要素です。
通常5A以下で整定されます。これはCTの二次定格5Aのためです。
EI・VI等の動作時間特性があり回路に流れる電流が大きい程、限時要素の動作時間が早まります。
瞬時要素:回路の短絡に反応して動作する要素です。
短絡時の過電流保護協調の関係上、動作時間は0.05s以内となっています。

お疲れ様です!
今回は座学編です、次回の試験編も参考ください。
コメント