どうも!今回は絶縁について基礎的な内容を勉強していきましょう!
接地と同じく基礎的な内容ですが非常に重要な内容です。
電気保安管理において不良が発生しやすい分野になるので一緒に勉強しましょう!
絶縁とは
絶縁とは簡単に説明すると電気を通さない性能のことです。
電技第13条にて電路は大地と絶縁することが義務付けされています。
これは漏えい電流による火災や感電の危険性があるからです。
そのため、絶縁性能が保たれているという事は言うまでもなく重要な事です。
主任技術者としては常に気にしておきたい、気にしておくべき内容です。
低圧電路の絶縁性能
低圧電線路中絶縁部分の電線と大地との間及び電線の線心相互間絶縁抵抗は、使用電圧に対する漏えい電流が最大供給電流の1/2000を超えないようにしなければならない。
電技第22条
変圧器二次側の漏えい電流に対する規程です。
最大供給電流とは変圧器二次側の定格電流を指します。
例)単相変圧器100KVA
100×103 /210=476A
476/2000=0.238A=238m A
上記に線数をかけた値が基準値となります。(単三なら×3)
月次点検での漏えい電流の測定時にしっかり確認するようにしておきましょう。
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路は開閉器又は過電流遮断器で区切る事のできる電路毎に下記に適合する絶縁性能を有すること。
一.電技第58条によること
電技解釈第14条
二.絶縁抵抗測定が困難な場合においては、当該電路の使用電圧が加わった状態における漏えい電流が1mA以下であること。
電技第58条による規定には停電しての測定が必要になるが、クランプリークメータによる漏えい電流の測定は停電の必要がありません。
漏えい電流の測定値が1mA以下の場合は電技第58条による絶縁性能と同等の絶縁を有していると判断ができます。
停電点検時、どうしても停電できない回路がある場合(非常系又は仮設発電機により充電している電路)絶縁抵抗測定を漏えい電流の測定に代える事ができます。
式)0.1MΩ=100(V)/1mA=100/1×10-3
式)0.2MΩ=200(V)/1mA=100/1×10-3
式)0.4MΩ=400(V)/1mA=100/1×10-3
上記計算式において漏えい電流が1mA以下の場合に電技第58条による絶縁性能と同等と判断する事が
出来ると言われています。
また、停電点検時の絶縁抵抗測定ですがTr二次巻線から配電盤のブレーカ電源側までの区間はTr二次側
に施設されているB種接地工事によって測定が不可能です。(B種接地線を外せば可能です)
↑絶縁抵抗計の接地線とB種接地工事で導通が出るためです。
接地極から接地線を離線して接地抵抗測定する時に同時に絶縁抵抗測定を実施すれば問題ありませんが
時間の関係上厳しい場合もあるかと思います。
その場合、漏えい電流の測定に代えることでTr二次巻線の絶縁抵抗測定の省略が可能です。
もちろん漏えい電流が1mA以下である必要があります。
電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び電路と大地との間の絶縁抵抗は開閉器又は過電流遮断器(MCCBやELB)で区切る事のできる電路ごとに下記の値以上でなければならない。
電技第58条
電路の使用電圧 絶縁抵抗値 300V以下 対地電圧が150V以下※1 0.1MΩ 300V以下 その他の場合 0.2MΩ 300Vを超える 0.4MΩ ※1接地式電路においては電線と大地との間・非接地式電路においては電線間の電圧
電気保安管理を行なっていく上で上記の基準値を主に扱っていくことになると思います。
基本的には電灯回路が0.1MΩ以上で良・動力回路が0.2MΩ以上で良となります。
例外としては△ーY回路です。対地電圧が約240V、線間電圧が約400Vとなります。
対地電圧には0.2MΩ、線間電圧には0.4MΩが適用されます。
高圧電路の絶縁性能
高圧ケーブル
高圧絶縁抵抗計による絶縁抵抗測定(G端子接地方式)
ケーブル部位 | 測定電圧(v) | 絶縁抵抗値(MΩ) | 判定 |
絶縁体 | 5000 | 10000(10GΩ)以上 500以上5000(5GΩ)未満 500未満(0.5GΩ) | 良 要注意 不良 |
絶縁体 | 10000 | 10000(10GΩ)以上 1000(1GΩ)以上10000(10GΩ)未満 500未満(0.5GΩ) | 良 要注意 不良 |
シース | 500/250 | 1以上 1未満 | 良 不良 |
高圧受電設備の中でも特に慎重な保安管理が必要だと感じています。
地中引込みの場合、ケーブルシース内部に水が侵入する水トリーによる危険があります。
水トリーによりケーブルの一部に電界が集中し絶縁性能の低下や絶縁破壊による停電事故を引き起こします。
ケーブルの絶縁が前年に比べ急激に低下している場合などは絶縁破壊の予兆であると判断しても良いかもしれません。(天気にもよりますが)
また、特定メーカーで絶縁破壊を起こしやすいという事象が発生しています。
高圧電路
絶縁抵抗測定値については、下記の値を参考とする。
3KV電路では3MΩ以上・6KV電路では6MΩ以上であること。
財団法人電気工事技術講習センター 「電気工作物の試験」
あくまで、参考値であって天候や季節によっても絶縁抵抗値は上下します。
また、新設の竣工試験では数百・数千MΩ以上を良とすると言われています。
絶縁に関しては以上です。お疲れ様でした!
絶縁の基礎から派生して絶縁抵抗測定や絶縁耐力試験・漏電事故等についても別で投稿にする予定です。
接地と同様に抵抗値は温度や湿度・季節等によって変化します。また、機器の汚損や施工不良によって絶縁性能が低下します。いかなる場合であっても基準値以上の抵抗値を保てるように管理していくことが電気使用の安全にとって重要だとおもいますので注意して点検しましょう。
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