
試験項目
動作電流試験
限時要素の動作時間整定を1の目盛位置にしたときの各動作電流整定値における動作電流値及び瞬時要素を各動作電流整定値としたときの動作電流値を試験する。
JIS C 4602-2017
良否判定
JIS C 4602-2017
項目 性能 限時要素 整定値に対して誤差±10% 瞬時要素 整定値に対して誤差±15%
動作時間特性試験
限時要素を最小動作電流整定値とし、かつ300%の電流を急激に加え継電器の動作時間を測定する。
次に、瞬時要素を最小動作電流整定値とし、整定値の200%の電流を急激に加え継電器の動作時間を測定する。
JIS C 4602-2017
良否判定
瞬時要素の動作時間は0.05s以下でなければならない。
JIS C 4602-2017
試験の準備
- 過電流継電器試験装置
- 付属線
- 試験用電源
- ドライバー
- テスタ
- CTTテストプラグ

過電流継電器試験装置ですが、代表的なのは以下の試験器かなと思います。
ムサシインテック:IP-Rシリーズ
双興電機製作所:OCR-50シリーズ
テスタに関しては実効値型を使用しましょう。平均値型だと電圧が低く出ますので試験器や継電器を破損させる要因になります。
試験用電源ですが、過電流継電器試験では大電流を流すために電源容量に注意してください。
試験回路の結線(単体試験)


CTTを「CT側」と「継電器側」に断路した状態で「継電器側」に電流出力コードを取付けます。
これは、実際に動作する時の状態に最も近い状態での試験です。
「CT側」と「継電器側」の判別方法ですが、CT二次側の1端子には接地工事が施されているため、テスタを用いてQubの接地工事と「CT側と「継電器側」で導通を確認します。
⇨テスタの導通確認モードにてテスタの片方をQubのアース、もう一方をCTTにあて判別します。
時限測定コードは継電器の警報用接点に取付けましょう。
試験回路の結線(連動試験)


単体試験では時限測定コードは継電器の警報接点に取付けましたが、連動試験では継電器と連動して遮断器が開放するまでの時限を計測するため、上図のような結線になります。
時限の検出方式が「接点」モードにおいては、時限測定コードの「R相」「T相」と「COM」間にDC140V程度発生します。
遮断器が投入中は「R相」「T相」と「COM」に微弱な電流が流れますが、継電器が動作し遮断器が開放すると電流が流れなくなります。
この変化を検出し時限計測をするのが「接点」モードです。
試験開始
では、実際に試験を流れで解説していきます。
動作電流試験
- 継電器の試験前の設定を確認
- 試験器のダイヤルレバーやスイッチ等のレバーを確認
- 試験器用電源の電圧が正常かテストを用いて確認し、問題がなければ電源コードを挿入
- 試験器極性ランプを確認
- 電流計のスイッチを切に変更する
- 電流出力調整のつまみを操作し、継電器が動作するまで出力を徐々に調整する
- 継電器動作
- 動作電流値を控え、良否判定を行う

継電器のRUNランプはある程度の電流が流れていないと点灯しません。
回路の電流を電源に変換しているためです、大体1.5~2Aくらいで点灯するかと思います。
ただし、これは動作表示ではないため取扱い説明書にて事前に確認してください。
また、試験前には電流計を必ず「切」にしておきます。瞬時要素の試験時にメータの定格5Aを大きく上回る電流が流れメータが故障するのを防ぐためです。「切」にしておくと電流はメータを通りません。
動作時間特性試験
5.までは動作電流試験と同様ですのでスキップします。
6.整定値の200%の電流をセットする。
7.試験ONスイッチを押下
8.遮断器の開放を試験器が検知しカウンタが時限を測定
9.時限を控え、良否判定を行う

6.電流のセットの方法ですが、試験器内だけで電流を流す「設定」モード若しくは実際に回路に200%の流す方法があります。
後者の場合は継電器が動作するため継電器の動作をロックしておきます。
これを限時要素と瞬時要素の2要素試験を実施します。
瞬時要素試験の場合は限時要素が動作するため限時要素をロックしておきます。

コメント