ども!あべちゃんです!
今回は進相用コンデンサの特性や保護、フェランチ現象について解説していきます。
難しい内容ですが一緒に勉強頑張りましょう!
コンデンサとは(SC)
コンデンサ(SC)とは電気設備を使用する時に発生する無効電力を打ち消し力率の改善を担う設備です
ほとんどの電気設備は遅れ力率を発生させます、この遅れ力率が無効電力であり、本来必要な電力より
多くの電力を使用している状態です。
つまり、無効電力の存在によって発生する必要以上の電力を無くそうって事です。
電力会社の請求する電力量は皮相電力(無効分+有効分)です。
この無効分を打ち消すことで電気代の節約につながります。
力率改善
力率改善にはリアクトル成分に対応するコンデンサ成分を投入する必要があります。
無効分が多いと流れる電流が増えるため配電線等での電圧降下が発生します。
また、コンデンサ成分が多すぎるとフェランチ現象が発生します。
電圧降下
発電所や変電所・配電所を経由し高圧の電気を受電していますが、その過程の送電線や配電線では
流れる電流に応じて電力損失が発生します。この電力損失が電圧降下と言う訳です。
受電電圧が低くなることで発生する問題は、電流がより多く流れるということです。
P(電力)= I(電流)× V(電圧)
受電電圧が低くなるとPを維持するためにより多くの電流が必要になります。
ということで、力率が悪いと無効分に加え電圧降下により多くの電流が必要になります、
これを防ぐのが力率改善です。
フェランチ現象
受電端電圧が送電端電圧を上回る現象をフェランチ現象と言います。
受電端電圧が上回ること自体はさほど問題ではないようです。
問題点として挙げられるのは以下
- 絶縁物の劣化
- 機器寿命の短縮化
対策としては以下
- 分路リアクトルの投入
- 進相用コンデンサの開放
フェランチ現象の発生要因としては、長期休暇や夜間等の稼働していた負荷が需要家や周辺の需要家一帯で停止することです。
遅れ力率の負荷がなくなることでコンデンサによる進み力率の負荷電流だけが大きくなります。
その結果、下図のようなベクトル和によって受電端電圧が上昇します。
結局のところ受電端電圧が送電端電圧を上回るというより受電端電圧が上昇することに問題点があります。
コンデンサ成分が大きすぎるというのが要因なためコンデンサを回路を開放する事や電力会社側として分路リアクトルを投入する事で、コンデンサ成分を調整します。
工場地帯では長期休暇前にはコンデンサ回路の開放依頼が電力会社より発せられることもあります。
コンデンサの銘板について
- 回路電圧:コンデンサを接続する回路の公称電圧
- 定格電圧:コンデンサが連続的に耐えることができる,線路端子間正弦波電圧の実効値
- 放電抵抗内蔵:コンデンサが線路から切り離された後,その残留電荷を取り除く
- 定格設備容量:コンデンサと直列リアクトルとを組み合わせた設備の設計無効電力
- 定格容量:定格電圧及び定格周波数における,コンデンサの設計無効電力
定格電圧
1相づつ考えます。
線間電圧6600Vを相電圧に変換すると3810V
3810V+243V=4053V
1相で考えると4053V、逆に相電圧を線間電圧に変換すると7020Vとなる。
リアクトルが第5調波を九州するけど、電圧が上がってしまう訳です。
電流種別
コンデンサの電流への耐量みたいなものです。
過負荷電流や高調波電流に対してコンデンサが破損しないために余裕を持たせています。
先ほど説明したコンデンサのフェランチ現象ですが、
進み成分のみが過大に増えることで回路電圧が上昇するというものです。
回路電圧が上昇することでコンデンサに流れ込む電流が増加し、
過負荷により過熱・膨張し破損する事故が多発していたそうです。
SHとは?NHとは?保護方法は?
SHとNHの解説の前に、2020年よりコンデンサの保護について規程が改正されています。
高圧受電設備規程「1150−9」について一部抜粋します。
進相コンデンサは次の各号のいずれかにより施設すること
- 箔電極コンデンサの場合は、進相コンデンサの一次側に限流ヒューズを施設すること
- 蒸着電極コンデンサの場合は、保安装置内蔵コンデンサの採用又はコンデンサ付属の保護接点の使用により電路から切り離すことができる適当な装置を施設すること。
あべちゃんちなみに、従来の規定では以下のとおりです。
進相コンデンサの一次側には、限流ヒューズを施設すること。
私の周りでも規程の改正を知らない方が多くいますので覚えておきましょう。
NH(箔電極コンデンサ)ー Non self Healing
自己回復機能を持たないコンデンサを指します。
自己回復機能についてはSHの方で解説します。
コンデンサは誘電体が電極に挟まれる構造をしています。
そのため誘電体(絶縁体)が破壊すると電極間が導通となり短絡します。
この短絡電流から回路を保護するために限流ヒューズを施設することになっています。
SH(蒸着電極コンデンサ)ー Self Healing
自己回復機能を持つコンデンサを指します。
自己回復機能とは、誘電体が絶縁破壊した場合、破壊点に隣接する電極の微小面積が消滅することによって瞬間的にコンデンサの機能を復活する機能です。
電極が蒸発する時にガスが発生しコンデンサが膨らんでいきます。
このSHタイプのコンデンサの保護には保護接点の使用又は保安装置内蔵コンデンサの採用です。
むしろ、SHの場合は限流ヒューズではダメです。
理由としては、SHの特徴である誘電体の破壊点付近の電極が蒸発し絶縁が回復する部分にあります。
基本的には短絡しないはずなんです、そもそも限流が溶断する程の電流が流れません。
その結果、ガス圧によるコンデンサの膨張を検知して保護する方式となっています。
放電抵抗と放電コイル
放電抵抗と放電コイルの大きな違いは電荷の放電時間です。
- 放電抵抗:5分で50V以下
- 放電コイル:5秒で50V以下
残留電荷が残っているまま回路の開閉を行うと、電荷が他回路に波及し制御系の機器を破壊してしまったという事故事例がありました。
放電抵抗
放電抵抗は基本的にはコンデンサに内蔵されています。(メーカによる)
ですので、コンデンサと放電抵抗はほぼほぼセット品です。
放電抵抗の特性は、5分で50V以下に電荷を放電することです。
コンデンサは充電状態の際に電荷を貯める特性を持っていますので、コンデンサが電路から
切り離された時にこの残留電荷を放電する必要があります。
それは、作業員の感電対策や回路の保護のためです。
残留電荷を放電せずコンデンサ回路に触れるとちゃんと感電します。
結構痛いと思いますよ。
放電コイル
通常、放電コイルは別注品です。
放電コイルの特性は、5秒で50V以下に電荷を放電することです。
放電抵抗と比較して放電時間が格段に速くなっています。
では、放電コイルを設置する必要があるのはどういった時でしょうか。
- 高頻度でコンデンサ回路を開閉する場合
以上が放電コイルを設置する必要がある回路です。
高頻度でコンデンサ回路を開閉する場合とは、VCSや自動力率調整機によって力率が調整される回路です。この回路はふか変動によってVCSが高頻度で開閉するため放電コイルの設置が必要となります。
コンデンサの取替にあたって
コンデンサの取替にあたって直列リアクトルが設置されていない場合は設置しましょう。
高圧受電設備規程においては2014年より義務的事項となっています。
高調波対策や突入電流の抑制のためにも設置しましょう。
高圧受電設備規程「1150−9」進相コンデンサ及び直列リアクトル
進相コンデンサには、高調波電流による障害防止及びコンデンサ回路の開閉による突入電流抑制等や、系統でよく問題になる高調波のうち。低次で含有率が最も大きい第5次高調波に対して、高調波障害の拡大を防止するとともに、コンデンサの過負荷を生じないよう原則としてコンデンサリアクタンスの6%又は13%の直列リアクトルを施設すること。
また、コンデンサのJIS規格がJIS C 4902(1998)⇨JIS C 4902(2010)に改正されています。
各々の規格は対応していませんので、取替時はコンデンサとリアクトルの同時交換をしてください。
お疲れ様です。
コンデンサに関してはもっと難しい話もいっぱいありますので追々勉強していきましょう!
お疲れ様でした!
最後に!コンデンサも絶縁油が使用されている事が多いです、当然PCB含有調査の対象となりますので覚えておきましょう!
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