ども!あべちゃんです!
高圧の電気設備といえばやはりこれ!「変圧器」について解説します。
最もポピュラーな機器ゆえに特徴が多いので一緒に勉強しましょう!
変圧器について知る
変圧器とはその名の通り、電圧を変化させるものです。
電気主任技術者の選任が必要な自家用電気工作物は一般に高圧で受電している場合がほとんどです。
しかし、一般家庭でも使用される電気機器(空調・洗濯機)の定格電圧は低圧です。
そこで、高圧で受けた電気を低圧に減圧することで電気機器の使用を可能にしています。
大前提として電気機器を使用するためというのが高圧から低圧に減圧する目的ですが、その場合「電気小売り事業者が低圧で電気を売れば良くないか。」と言った疑問を持つかと思います。
ではなぜ高圧で受電するのかと言うと、高圧受電の建物は電気をたくさん使用するからです。
例)5000Wの電動機を使用するのに高圧と低圧では電流が大きく変わります。P=VIですね。
電流を小さく抑えるために電気をたくさん使用する建物は高圧受電となる訳です。
因みに、電流を抑えたいのは送配電線での抵抗損を小さくするためです。
変圧の仕組み
V1:6600V V2:220V
高圧側のコイルに流れる電流によって磁束が発生し、磁束が鉄芯を通り二次巻線のコイルを通過します
電磁誘導作用により誘導起電力が発生しV2に電圧が発生します。
V2に発生する電圧はタップ切替(巻数比)によって段階的に調整が可能です。
一次巻線に印加される電圧が低下しておる場合、二次巻線に誘起される電圧も低下します。
回路電圧が定格電圧を下回ると電気機器の性能が保証されませんので製品の不具合や電気機器の故障にも繋がりますのでタップ切替により電圧を調整します。
注意点ですが、タップ切替に当たってボルトやナットを落とさないように十分注意して下さい。
変圧器の構造
変圧器には「内鉄型」と「外鉄型」があります。
また、一次巻線と二次巻線の位相関係を表す「加極性」と「減極性」があります。
極性は一次巻線と二次巻線の位相関係です。
つまり、コイルに発生する起電力の向き(コイルを巻く向き)が同方向か逆方向です。
変圧器の並列運転をする上で、同極性の物を使う必要があります。
ですが、日本の場合は減極性が標準のため基本的には気にしません。
内鉄型
鉄芯を囲むように巻線が巻かれています。
メリットとしては、巻線が分れているため絶縁が容易です。
一般的に出回っている変圧器は内鉄型になっています。
外鉄型
調べましたけどよく分かりませんでした。
冷却方式
一般的に出回っているのはONAN(油入自冷式)です。
また、変圧器本体の外箱を波状にすることで冷却効果を高めています。
耐熱クラス
変圧器に使用された絶縁材料の耐熱性によって分類された階級を指します。
温度上限を超えて使用する場合には過熱により変圧器の寿命を縮めると供に火災の原因にもなります。
耐熱クラス | 許容最高温度 | 材料 | 対象変圧器 |
A | 105 | 絶縁油 | 油入 |
E | 120 | ポリエステル | 乾式 |
B | 130 | 無機質材料 | モールド |
F | 155 | シリコン樹脂 | モールド |
H | 180 | ケイ素樹脂 | モールド |
変圧器の銘板について
定格容量:定格二次電圧での変圧器の容量(100KVA)です。100000÷210=476A(変圧器二次側換算)
定格周波数:対応している周波数(50Hz品でも関西で問題なく使用できるらしい)
定格電圧:各端子間に印加することができる線間電圧
定格二次電流:定格容量を,定格電圧で除した線路電流
短絡インピーダンス:一方の巻線を閉路とし,定格周波数において,あるタップに対して他方の
巻線端子間で測定した等価的な星形結線に置き換えたインピーダンス
短絡インピーダンスですが、説明が難しいですが変圧器の巻線を短絡させた時の抵抗値です。
百分率で表されるため百分率インピーダンスとも言います。
考え方としては、値が小さいと短絡時の電流が大きくなります。
短絡電流=476A÷(2.7÷100)=17,629A
タップ切替
変圧の仕組みでも説明しましたが、変圧器は受電電圧に応じてタップ切替が可能です。
一次電圧が低下すると二次電圧も低下し電気機器に影響を及ぼすためタップの切替が必要です。
切替の方法は先に説明した通りですのでこちらでは『F』や『R』について説明します。
『R』:基準タップと呼ばれ出荷時の設定です。基本的には6600Vです。
『F』:全容量タップと呼ばれ規定の温度上限を超える事なく定格容量を使用できるタップ電圧
:低減容量タップと呼ばれ規定の温度上限を超える事なく使用するために容量を低減する必要があるタップ電圧(上図の場合は6150V)
電圧が下がると電流が流れやすくなるため同じ容量でも電流が多くなりコイルが熱をもつためです。
三菱電機オフィシャルサイトより、
定格容量×(低減容量タップ電圧÷最低全容量タップ電圧)=低減容量
100×(6300÷6150)=97.6KVA
変圧器の絶縁油
以前まで変圧器やコンデンサ等でも幅広く使用されていた鉱油に変わり
カーボンニュートラルに向けて植物油が多く使用されていくようになると思われます。
そこで、植物油の特徴を鉱油と比較しながら解説していきます。
- 植物の栽培から最終変圧器の処理の過程でCO2の排出が格段に低下します。(鉱油と比較して1/6)
- 引火点が鉱油に対して非常に高いです。変圧器の過負荷による過熱時にも火災が発生しにくい。
- 絶縁紙の高寿命化(変圧器の寿命は絶縁紙の寿命と言われています。)
- 油の劣化が鉱油と比べて遅い(スラッジが発生しないため絶縁が低下しにくい)
- 鉱油と同様に消火設備が必要です。
従来の鉱油と比較してメリットが多いためお金はかかりますが、設備の信頼性としては格段に上がりますし、保安をしていく上での信頼性が高い特徴が多いので変圧器取替えの際には確認しておきましょう。
また変圧器の絶縁油にはPCBという化学物質が使用されている可能性がります。
現在では輸入・製造が禁止されており2027年3月末までに処分する義務があります。
詳しくはこちらを確認ください。
以上Part.1は終了です!Part.2も確認ください!
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