E方式とG方式の使い分けて効率的に点検しましょう。
それぞれ測定対象が違います。また、関係器具を応用し、より信頼性の高い判断をできるように解説していきたいと思います!
高圧絶縁抵抗に関しいての基礎的な知識は下記リンクよりご確認ください。
まず初めに高圧絶縁抵抗測定についての説明は絶縁とは・絶縁抵抗測定を知るを参照ください!
高圧絶縁抵抗測定
高圧絶縁抵抗測定には2つの種類があります。
- E方式:高圧ケーブル含む高圧機器一括の測定
- G方式:高圧ケーブル単体の測定
それぞれの特性とケーブルの絶縁劣化の判断について解説していきます。
高圧又は特別高圧の機器及び電路については1000V絶縁抵抗計を使用して測定する。
自家用電気工作物保安管理規程 資料4.竣工検査方法と判定基準の例示より
1000Vにて測定する事が自家用電気工作物 保安管理規程にて規定されていますが
実際1000Vでの測定は絶縁劣化の予兆を発見する事は困難かと思います。
研究結果が出てるみたいですし5000V以上の電圧にて測定したいところです。
開路した電路が高圧又は特別高圧であったものについては、検電器具により停電を確認し、かつ、誤送電、他の電路との混触又は他の電路からの誘導による感電の危険を防止するため、
労働安全衛生規則第339条
短絡接地器具を用いて確実に短絡接地すること。
高圧充電電路の点検、修理等 当該充電電路を取り扱う作業を行う場合において、当該作業に従事する労働者について感電の危険性が生ずるおそれのある時は下記の措置を講じること
事業者は、労働者に絶縁用保護具を着用させ、かつ、当該充電電路のうち労働者が現に取り扱っている部分以外の部分が接触し、又は接近することにより感電の危険が生ずるおそれのあるものに絶縁用防具を装着すること。
労働安全衛生規則第341条
注意点ですが、測定に際しては上記の規定を遵守して下さい。
安全のために定まっている規程ですのでなおのことです。
また、絶縁用保護具や防具の装着は事業者に課された義務ですので従業員様への教育を怠ってしまうと
万が一の場合、従業員さまが感電により大きな怪我を負うことになるかもしれません。
短絡接地器具にて保護されていない電路は活線として扱います。
高圧活線作業では労働安全衛生規則第341条を遵守する義務があります。
DS(LBS)電源側等の測定時が対象です。
E方式(E端子接地方式)
まず、手順3.安全のため必要な措置を講じて下さい。
測定手順
- バッテリーチェック・無限大チェック・ゼロチェックを実施
- アース側を取り付ける
- LINE側を取り付ける(高圧ゴム手袋を装着し電路の検電した後)
- 測定
前述したとおりE方式は高圧ケーブル含む高圧機器一括の測定です。
全ての機器からの漏れ電流を拾います。
例えば、LINE側をDS負荷側に取り付けます。(VCBは投入状態)
測定回路はDSの負荷側の高圧機器一括になります。もちろん低圧側は測定範囲外ですよね。
各機器の外箱には接地工事が施されている訳なので各機器からの漏れ電流がアースに流れ込み
高圧絶縁抵抗計のアース側に流入します。そしてメーターを通り抵抗値に換算されます。
基本的には電路に高圧コンデンサが設置されていると思います。
静電容量分に電荷がたまりますので確実に放電しましょう。
DS負荷側の測定に関しては絶縁用保護具の装着は義務ではありませんが装着した方が安全です。
G方式(G端子接地方式)
まず、手順4.安全のため必要な措置を講じて下さい。
測定手順
- バッテリーチェック・無限大チェック・ゼロチェックを実施
- アース側を取り付ける
- G方式端子を取り付ける
- LINE側を取り付ける(高圧ゴム手袋を装着し電路の検電した後)
- 測定
前述したとおりG方式は高圧ケーブルの測定であり、高圧ケーブルからの漏れ電流を拾います。
例えば、LINE側をDSの電源側に取り付けます。(PASは開放状態)
測定回路はPAS負荷側からDSの電源側になります。
E方式とは違い今回はG方式端子をケーブルシールドに取り付けます。
高圧ケーブルの絶縁体からシールド層に漏れた電流がケーブルシールド(G方式)端子に流れ込みます。
そしてメーターを通り抵抗値に換算されます。
注意点ですが、印加範囲はあくまでPASからDS電源側であり各機器からも漏れ電流が発生しています。
ですが、測定器のE(アース)端子の接点がG方式側に倒れていますので各機器からの漏れ電流が
メーターを通らない仕組みになっています。
そのためG方式では高圧ケーブル単体の測定となります。
ちなみに!切替レバーをE方式側に倒すとE方式の測定になるので各機器の漏れ電流も拾います。
高圧絶縁抵抗測定のあれこれ
E方式とG方式の違いは前述した通りです。
基本的にG方式よりE方式の方が絶縁抵抗値は低くなります。
地中引込みで発生しやすい水トリー現象は外部半導電層から水が侵入し絶縁体にまで染み込みます。
水トリー箇所に電界が集中し絶縁体を劣化させてしまいます。
そういった絶縁劣化を早期に発見するために絶縁劣化診断が出来るようになりましょう。
常規電圧(交流6600V)以外の電圧を印加しますので電圧は慎重に上昇させましょう。
機器にとってはストレスです、特に高圧ケーブルはかなり敏感なイメージです。
絶縁劣化傾向のあるケーブルを停電することや高電圧を印加する事でケーブルパンクを起こし復旧に時間がかかるという事例もあります。
G方式の印加箇所はここだ!
LINE側を電路に取り付け、G方式端子をケーブルシールドに、E端子側を接地極に取り付けます。
電路というのは上図での導体です。
ケーブルシールドというのは上図での遮蔽銅テープです。
導体に電圧を印加し絶縁体から漏れ出た電流が遮蔽銅テープに流出しG方式端子に帰ります。
つまりG方式で測定している絶縁抵抗はほぼ絶縁体の抵抗値です。
注意点ですが、遮蔽銅テープより外部のシース部分の絶縁測定も必要です。
250V又は500Vにて測定します。1MΩ以上で良好と判断します。
1MΩ以下になると絶縁体から遮蔽銅テープの漏れた電流がシース外にも漏れるやすくため
測定値が変化します。正しい測定値が表示されません。
絶縁劣化診断(ケーブル)
絶縁劣化診断の手法としては以下の2点があります。
- 弱点比
- 正極比
本当は相間不平衡率という診断方法もありますが高圧需要家の保安管理においてCVTケーブルが
主流となっている中でケーブル1本だけが悪くなるとは考え難い事や他2つの方法で診断が可能
なため省略します。
概要としてはケーブル1本づつ測定しどの相が劣化しているか試験するようなものです。
弱点比
弱点比=6KV(第一ステップ)の抵抗値/10KV(第二ステップ)の抵抗値
判定:弱点比3未満で良好
劣化傾向にあるケーブルは電圧の上昇により絶縁破壊点に近づくことで抵抗値が大幅に減少します。
その変化の度合いを試験することで劣化の早期発見を行います。
定格電圧 第一ステップ 第二ステップ 3300 3KV 5KV 6600 6KV 10KV 一般的な測定電圧は上図に示す。なお、測定に当たっては、まず第一ステップで測定し
劣化の兆候が見られなければ第二ステップの測定を行う。
高圧受電設備規程資料1-3-2より
正極比
正極比=1分時点の漏れ電流/10分時点の漏れ電流
判定:1.0以上で良 1.0〜0.5で注意 0.5以下で不良
絶縁抵抗計は直流電圧を印加するため、電圧印加後しばらくは充電電流が流れます。
高圧ケーブルの静電容量に対する過渡現象です。
正常なケーブルであれば電圧印加後は徐々に漏れ電流が減少していきます。
しかし、水トリーにより侵入した水分が高電圧により消し飛び「キック」現象が発生し
突発的な大電流が流れます。(抵抗値は大幅減少します)
キック現象発生後、水トリー箇所に空気が入り込み微小な気中放電し漏れ電流値が増加します。
こういった現象による漏れ電流値の変化を試験します。
どうも!お疲れ様です!
高圧絶縁抵抗測定の実施のタイミングですが、時間的な余裕がある場合は清掃後が最適です。
金属部からがいしや機器に付着している汚れや湿気を伝って漏れ電流が流れ抵抗値が低くなるためです。
第2キュービクル送り等のケーブルがある場合にはシールド線が施行されていり側から測定します。(シールド線をアースから浮かしG方式端子を取り付ける必要があります。)
また、DS(LBS)電源側のE方式測定時にシールド線をG端子につけておくと高圧ケーブルを除く機器一括の測定が可能です。使った事ないですが。
あと、測定範囲に避雷器が設置されていると10KV印加時に絶縁抵抗値が低下ことがあります。
避雷器の放電開始電圧に近づくためです。
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